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レーザー核融合燃焼プラズマの観察に向けた超解像コンピュテーショナルファイバイメージング

2025.08.22
令和6年度 学際共創プロジェクト【機能デザイン部門】

レーザー核融合燃焼プラズマの観察に向けた超解像コンピュテーショナルファイバイメージング

研究代表者: 有川 安信(レーザー科学研究所)
研究分担者: 八木 康史(産業科学研究所/IDS)、中村 友哉(産業科学研究所)
       中川 桂一(東京大学 工学系研究科)


研究の背景

レーザー核融合研究において、核融合反応燃焼の空間分布の2次元計測が求められています。要求される空間分解能が極めて高く、さらに計測器センサー部分を核融合プラズマごく近傍に設置しなければならないという要求から、光ファイバーの先端部に計測センサーを取り付け、センサー先端は核融合プラズマから5mm程度の距離に設置し、数十メートル離れた計測装置まで伝搬して測定する必要があります。

この計測には、マルチモード光ファイバーを用いた光情報処理技術の適用が求められます。レーザー核融合燃焼領域の中性子発生空間分布(ミクロンスケールの空間構造を有する。本研究においては被写体)が、Electro Opticポリマーを通じて計測用のプローブレーザー光の強度変調に変換されます。そのレーザー光が長距離(30m以上)のマルチモードファイバーを伝搬してから、プローブレーザーの参照用平面波レーザーと干渉させてCCDカメラで計測されます。スペックルパターンの干渉縞模様からホログラフィック法により複素振幅画像を取得します。多数の点光源による伝達関数マトリックスを作成しておいてから、被写体画像の再現には伝達関数の逆関数を掛け算することで実現されます。一連の技術は、Choiらにより実証された方法と同様の操作を採用しています。

この手法をレーザー核融合研究に適用することで、中性子源(被写体)に対し、EOポリマーとマルチモードファイバー部分が結像素子として機能し、中性子のような結像が困難な対象でも画像化することが可能となります。さらに、数十メートル先への信号伝達も可能です。

核融合レーザーショットの直前にマルチモードファイバーの点光源伝達関数を取得し、撮影対象の実験データに演算処理を施すことで画像を再現します。しかし、CCDの熱電子ノイズや電子数統計ゆらぎノイズ、マルチモードファイバーの微小な振動や伸縮による伝達関数の変化が原因で、画像再構成の鮮明さが損なわれる問題があります。また、画像取得時のコントラスト条件(信号光と参照光の強度比、干渉縞の間隔など)、さらに再構成計算アルゴリズムの改良に課題が残っています。

研究の目的

本研究では、核融合中性子計測でマルチモードファイバーイメージングを用いることを前提に、いかにして鮮明な画像を安定的に得るかという課題に対して実験と計算アルゴリズムの開発を行います。

本年度の成果について、詳しくは活動報告書(PDF)をご覧ください。