令和6年度 学際共創プロジェクト【機能デザイン部門】
ロボット合成とAIが共創する創薬研究
研究代表者: 有澤 光弘(薬学研究科)
研究分担者: 鬼塚 真(情報科学研究科)、佐古 真(薬学研究科)

研究の背景
創薬における構造活性相関(Structure–Activity Relationship: SAR)研究は、化合物の構造とその生物活性との関係を明らかにし、医薬品候補化合物(リード化合物)の最適化を図る上で重要なプロセスです。この過程では、様々な誘導体を効率的に合成し、それぞれの活性を評価することが求められます。従来、これらの誘導体合成は1化合物ずつ手作業で行われ、多大な労力と時間を必要としてきました。
しかし近年では、自動合成装置の進展により、創薬の現場にも自動化技術が導入されつつあります。この進展により、迅速かつ持続可能なプロセスの構築が可能となってきています。さらに、化学構造や反応条件の違いによる生成物や活性への影響を予測するために、情報科学的方法、特に機械学習やデータ駆動型解析の活用が注目されています。これらの技術を自動合成と組み合わせることで、構造多様性に富む誘導体群の設計・合成・評価のサイクルを加速することが期待されています。
研究の目的
わたしたちの研究室では、三重結合の両端に二つの異なるアリール基(Ar)を有する化合物の化学構造と生物活性相関について研究しており(Structure–Activity Relationship: SAR研究)、多種多様なAr基を検討する必要があります。Ar基の種類が増えると指数関数的に合成可能な化合物が増えるため、従来の手作業による検討では非常に時間がかかります。
また、反応条件(金属触媒や配位子、塩基、有機溶媒)のバリエーションも多く、効率的な検討が不可欠です。本研究では、ロボット合成の活用に加えて機械学習を取り入れ、プロセスの効率化を目指します。さらに、生成物の情報や生物活性の評価結果を基にデータベースを構築し、今後の化合物の構造設計や活性予測に役立てる計画です。
本年度の成果について、詳しくは活動報告書(PDF)をご覧ください。