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隠れマルコフモデルによる膜蛋白質の異常拡散の解析

2025.11.21
令和6年度 学際共創プロジェクト【バイオサイエンス部門・生命システム領域】

隠れマルコフモデルによる膜蛋白質の異常拡散の解析

研究代表者: 上田 昌宏(生命機能研究科)
研究分担者: 松野 健治(理学研究科)、竹林 和俊(生命機能研究科)、廣島 通夫(生命機能研究科)


研究の背景

膜蛋白質は、細胞膜上での拡散運動を通じてシグナル伝達などの機能を発揮しています。この拡散動態は、他の分子との相互作用や不均一な細胞膜構造の影響によって複雑な振る舞いを示します。これまでわたしたちの研究グループでは、下等真核生物の細胞性粘菌からショウジョウバエ由来の細胞、さらに哺乳類細胞まで、幅広い生物種にわたる1分子計測系を確立してきました。

こうした様々な生物種における解析により、細胞によって膜蛋白質の拡散動態に大きな違いが見られ、拡散場となる細胞膜の構造が大きく異なることが明らかとなってきました。例えば、細胞性粘菌では計測されたすべての膜蛋白質が自由拡散を示すのに対し、哺乳類細胞では自由拡散と異常拡散が混合した複雑な拡散動態を示します。この拡散動態の違いを基礎としてシグナル伝達の仕組みを理解するためには、様々な膜蛋白質や細胞種に広く適用できる1分子計測手法と拡散解析手法が必要とされています。

研究の目的

本研究では、様々な細胞種における膜蛋白質の複雑な拡散動態を解析する方法を開発することを目的とします。これまでわたしたちは、機械学習やロボット技術の導入によって「細胞内1分子イメージングの自動化」を実現するシステムの開発を行ってきました。この技術により、膜蛋白質の拡散動態等を大規模に解析することが可能となります。本研究では、特に、粘菌細胞、ショウジョウバエ由来細胞、および哺乳類CHO細胞が異なる温度条件で最適な生存・増殖を示すことを考慮し、温度変化による拡散動態の変化を計測・解析できる手法を確立することを目指します。

本年度の成果について、詳しくは活動報告書(PDF)をご覧ください。