令和6年度 学際共創プロジェクト【バイオサイエンス部門・生命システム領域】
トランススケールスコープAMATERASによるがん希少融合現象の動態解析
研究代表者: 永井 健治(産業科学研究所)
研究分担者: イッザティ ラフィダー(薬学研究科)、市村 垂生(先導的学際研究機構)、熊ノ郷 淳(医学系研究科)
研究の背景
がんは日本人における主要な死因の1つです。特に転移は治療を非常に困難にし、致死率を著しく高める要因とされています。そのため、がん転移の機構を解明し、それに基づく予防法を開発することが重要な課題となっています。
近年、「融合がん細胞」ががん転移と密接な関係を持つ細胞として注目されています。この細胞は、腫瘍微小環境においてマクロファージなどの免疫細胞とがん細胞が融合することで生じるとされています。融合がん細胞は免疫細胞の性質を獲得し、がん排除機構を回避するとともに高い移動能を持つため、血流へ浸潤し転移の契機となると考えられています。
従来の研究ではフローサイトメトリーなどの手法を用いて腫瘍内や血中の融合細胞を抽出・解析していましたが、融合現象の発生機構や過程についての解明は進んでいませんでした。さらに、この融合現象は非常に稀であるため、従来の技術ではその発現をリアルタイムに観察し動態を解析することが困難でした。
研究の目的
本研究では、がん細胞とマクロファージとの細胞融合現象をin vitroで再現し、大規模イメージング装置「トランススケールスコープAMATERAS」を用いた観察と組み合わせることで、こうした稀な融合過程を動態解析可能なプラットフォームを構築することを目的とします。
本年度の成果について、詳しくは活動報告書(PDF)をご覧ください。