令和6年度 学際共創プロジェクト【バイオサイエンス部門・生命システム領域】
深層学習を用いた異常心筋細胞同定法の開発とその心臓不整脈研究への応用
研究代表者: 垣塚 太志(産業科学研究所)
研究分担者: 市村 垂生(先導的学際研究機構)、永井 健治(産業科学研究所)
研究の背景
ヒトiPS細胞をはじめとする幹細胞技術の進展により、心臓の収縮を担う心筋細胞を実験室内で作製することが可能となりました。これにより、心疾患患者への心筋細胞移植治療開発や培養心筋細胞を用いたヒト心疾患の再現、メカニズム解明、治療薬の開発など、多岐にわたる応用研究が活発に進められています。
こうした研究を効果的に進めるためには、作製した心筋細胞の品質を厳密に管理することが重要です。心臓は細胞同士が密に連結して機能する組織であり、心筋細胞が同期して拍動することで効率的に血液を送り出します。一部の異常な細胞が非同期に発火した場合、心拍リズムが乱れて不整脈の原因となる可能性があります。そのため、移植用途だけでなく、in vitroモデルとしての利用の際にも、異常細胞の混入を防ぎ、細胞集団全体の品質を管理する必要があります。
しかし、異常細胞の頻度が非常に低い場合、その検出は容易ではありません。稀な異常細胞を検出するには大量の細胞を観察する必要があるほか、異常の種類や外観的特徴が事前に分かっていないこともあり、ラベル情報に依存しない解析手法が必要とされています。
研究の目的
本研究では、大規模イメージング装置 AMATERASによる非染色明視野画像の取得と、自己教師表現学習を用いた機械学習ベースの異常検知手法を組み合わせ、ヒトiPS細胞由来心筋細胞集団に含まれる異常細胞をデータ駆動的に探索することを目的とします。本研究ではラベル情報を使わず、異常細胞を非侵襲的かつ効率的に検出する手法の開発を目指します。
本年度の成果について、詳しくは活動報告書(PDF)をご覧ください。