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臨床情報の時系列データに基づく膵臓癌の再発予測AI手法の開発

2025.05.02
令和6年度 学際共創プロジェクト【ヘルスサイエンス部門・医療イノベーション】

「臨床情報の時系列データに基づく膵臓癌の再発予測AI手法の開発」

研究代表者: 小林 省吾(大阪国際がんセンター)
研究分担者: 江口 英利(医学系研究科)、富丸 慶人(医学系研究科)、今村 宏輝(医学系研究科)
       木村 輔(産業科学研究所)、松原 靖子(産業科学研究所)、櫻井 保志(産業科学研究所)


研究の背景

日本国内における最も多い死因は癌であり、日本人の死因の約24.6%を占めています。その中でも膵臓癌による死亡者数は肺癌や胃癌に続いて3番目に多いとされています。膵臓癌に対して最も効果的で、根治が可能な治療法は外科的切除です。切除を行わない場合と比較して生存率は向上しますが、膵臓癌は予後不良の癌であり、切除を行っても早期に再発することが多くなっています。1980年代および1990年代と比較し、2000年以降の膵臓癌の切除後の生存率は有意に向上していますが、他の部位の癌に比べると未だに非常に低い水準です。

膵臓癌が予後不良である原因として、早期診断の難しさが挙げられます。膵臓癌に罹患しても、特徴的な初期症状が現れにくく、腹痛や背中の痛み、黄疸といった症状が認められた頃には既に膵臓癌が進行している可能性が高いと考えられます。術後の再発は主にCTやFDG-PETといった画像検査で診断されます。これらの検査は癌の有無や大きさ、位置を判断する上で非常に有効ですが、腫瘍がある程度大きくならないと検出できない点や、術後の変化と腫瘍を区別することが困難である点が課題となっています。腫瘍がまだ小さい段階での診断は予後を良好にするため重要であり、その方法を見つけ出すことが大きな課題となっています。

研究の目的

本研究では、患者の年齢や性別、使用された術式、血液検査結果、腫瘍マーカーなどから構成される臨床情報の時系列データを用いて膵臓癌の活動に関連する因子を抽出し、これに基づいた膵臓癌の再発予測手法の開発を目指します。臨床情報の時系列データは、主に通院の際に取得されることが多いためデータが非連続的かつ非同期的になる場合があり、解析が困難な課題となります。本研究により、非連続的かつ非同期的な臨床情報の時系列データの利活用が可能となり、膵臓癌の再発予測において新たな技術を確立することが期待されます。

本年度の成果について、詳しくは活動報告書(PDF)をご覧ください。