特 集
2006年問題への取り組み-情報処理教育科目について-
都倉信樹(鳥取環境大学 環境情報学部情報システム学科)
2006年度から「教科情報」を学んだ高校生を迎えるにあたり、大阪大学でも情報処理教育科目の在り方を見つめなおす必要があります。ご承知のように2006年問題というのは、いわゆる新課程の学生が入学してくる年という意味で、情報関連だけでなく、どの学科学部でも関心を持って対応を考えないといけないことですが、そういうゆとり教育を受けた生徒が入ってくるということの認識はまだ薄いといわざるを得ません。
ただこれまでにない、新しい要素として「教科情報」が含まれたことがあり、これがどう大学の情報関連科目の教育に影響するかについて、各大学の情報処理関連の教員はもっと意識しないといけないというところです。
「いわれるほど教科情報の実は上がっていなから、しばらくは従前どおりでよい」という議論もありますし、「いや、きちんとやっている高校とごまかして実質やっていない高校の差がでてくるので、いままでのような一律な教育では破綻する」という意見もあります。
学力低下、意欲低下、そして、以前のような輪切りで能力が見事に統制されていた時代から、かなり分散の広い学生を受け入れてどう教育するか。特に、情報処理教育科目はどうあるべきか。高校の教育だけでなく、パソコンがいまや家庭にもかなり入っており、いままでのように手取り足取り教える必要があるのかという疑問も出されたりします。単なる情報機器のさわり方だけでいいのか、もっと先の情報化社会に生きる知恵やスキルや判断行動の仕方などを教えなければいけないという意見もあります。
そこで、本特集では、学内外の先生方のそれぞれの立場から、高校における「教科情報」の現状や大阪大学における情報処理教育科目、特に「情報活用基礎」の経緯や実績、さらには大学教育における今後の情報関連科目の在り方について、議論していただくこととしました。