巻 頭 言
サイバーメディアセンター 副センター長
情報メディア教育研究部門
教授 竹村治雄
今号のサイバーメディアフォーラムでは、情報教育の2006年問題を特集として取り上げました。ご承知のように2006年度の入学生から高等学校で一般教科「情報」を履修した学生が入学してきます。これにあわせて、大学で教える情報教育科目について検討する必要があり、この分野の一線でご活躍の方々に原稿を依頼いたしました。実際の高等学校での「情報」の取り扱われ方は様々なようですが、今後の情報教育について考える参考としていただければ幸いです。
高等学校での一般教科「情報」の導入と並行して、社会のIT化は急速に進行しており、いまやすべての大学生・高校生が携帯電話を所有し、日常的にメールの送受信を行っているといってもよい状況になりつつあります。その一方では、すべての入学生が、レポートをワープロソフトウェアを利用して手書きよりも効率よく作成できる状況にはなっていないという事実も指摘しなければなりません。タッチタイピングができないことに加えて、高校での情報リテラシは教科としての教育であり、高校で教育を受けるためのスキルとはなっていないことにも関係しています。大学で求められる情報リテラシは、携帯メールで友人と会話をすることではなく、大学生に求められる教養を身につける過程で情報機器を利用し、自らが必要な情報を検索・収集し、理解し、加工し、自らの考えと外界からの情報を総合的に勘案して、個人の考えをまとめるという作業を行うに必要な多様なスキルを身につけることであります。そのためには、まだまだ多くのことを教授する必要があり、情報処理教育の重要性はこれからも変わらないと考えます。
情報教育に加えて、真の国際人を養成する課程での語学教育の重要性についても言及しないわけには参りません。外国語を使えるためには、教養としての外国語に加えて実践的なトレーニングが重要であることは言うまでもありません。CALLシステムなどのITを利用した語学学習環境の整備を進め、学生が自ら学び訓練する習慣を体得することが重要と考えます。
サイバーメディアセンターでは、情報教育システムの更新を本年3月に実施いたしました。新システムは、従来のLinuxベースのシステムを中心として、商用オフィスソフトウェアの利用も可能としより広い利用者のニーズに応えられるように設計されています。また、要望の多かった学外からのメールの送受信についてもWebメールシステムを新たに導入し、利用可能となっております。更新に当たっては、授業担当の先生方にもご協力をいただき無事に4月からの講義で利用いただいております。いまだ、チューニングを要する部分もありますが、今後ともシステムの安定運用に努める所存でございます。利用者におかれましても、システムの運用、改善等に関して忌憚なきご意見をいただければ幸いです。
最後に、本年8月26日サイバーメディアセンター副センター長の職を拝命いたしました。大阪大学の情報基盤の充実に微力ながら貢献できればと思う所存でございます。今後ともよろしくご指導ご鞭撻いただけますようこの場を借りてお願い申し上げます。