情報教育システム
基礎工学部情報科学科1回生向けの「プログラミングA」について
伊野 文彦(大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻)
萩原 兼一(大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻)
1. はじめに
私は、基礎工学部情報科学科1年次前期の演習「プログラミングA」を担当しています。この演習科目では、計算機を初めて扱う学生を対象としていて、以下を理解することを目的としています。
- ・計算機の基本的な操作(ログインおよびログアウトなど)
・プログラミング環境(エディタおよびファイルの操作など)
・ネットワーク環境(電子メールの操作など)
・プログラミングの基礎概念(Pascal言語を用いて)
・レポートの書き方
これらの演習を通して感じたこと、特に2002年10月に竣工したばかりのサイバーメディアセンター豊中教育研究棟において経験したことや感じたことなどについて報告いたします。
2. 「プログラミングA」について
この科目はサイバーメディアセンター豊中教育研究棟(新棟)で実施しています。昨年度は旧豊中教育実習棟(旧棟)で実施していました。先に挙げました項目を理解することを目的として、演習では予めメールで発展課題とともに最低限の課題を与え、演習時間内にこれらの課題に取り組むというスタイルで進めています。メールでのアナウンスは演習を実施する前の週に行い、学生の予習を促しています。前の週からのアナウンスは限られた演習時間を有効に使うという観点から大切だと考えています。
演習では、私とTA(Teaching Assistant)計5名程度が演習室内を巡回し、学生からの質問に適宜答え、進捗状況が芳しくない学生を積極的に支援しています。特に、初期の段階では後者が重要ですので、6月頃まではこちらから学生に話しかけるようにしています。これらの課題に取り組み、理解がある程度深まった頃から数回程度のレポート課題を課すというスタイルに切替えています。レポート課題は、1課題あたりおよそ演習4~5
回(1ヵ月)を要する規模にしています。受講生が1年次ということもあり、最初の課題は提出物をプログラムとレポートに分け、同様に〆切日もプログラム提出後、1週間後にレポート提出というように、予めスケジュールを与えています。
3. サイバーメディアセンター豊中教育研究棟で感じたこと
私自身も学生のときにプログラミングAを受講していたのですが、聞く側から話す側に立場が変わったことで、豊中教育研究棟の設備に対するありがたみがよく理解できるようになりました。
学生2人につき教官画面出力用ディスプレイが1つ設置されていて、ごく初期の段階でログインやログアウトなどを教えるときに非常に助かります。また、出席状況を自動的に記録してくれるウェブベースの授業支援システムも、点呼あるいは出席表を回す手間を省くことができ、限られた演習時間を有効に使えます。ただし、前任者から聞いたことですが、授業支援システムでは欠席扱いなのですが、学生は出席を主張しているなどのトラブルもあったようです。現在のところ、私自身はこのような経験はありません。
また、今年度から新棟が利用できるようになり、旧棟と比較してバリアフリーが大きく進んだと思いました。実際に障害を持つ学生に質問してみたのですが、1点を除いて不自由を感じないようでした。1点と言いますのは、演習室内のドアの開閉が車椅子の学生には辛いようで、電動あるいはノブのないドアなどが望ましいようです。特に、演習室に入室するときはドアを押すだけで敷居が低いのですが、退室するときはドアを引く必要があり敷居が高くなるようです。また、新棟の敷地と道路との段差も気になるようで、道路から演習室に入って着席し退出するまでのすべてのバリアを無くすことが大切だと感じました。
このように設備の充実は非常にありがたいのですが、一方でサービスの充実も重要だと思います。昨年度、プログラミングA(前期)に引続き、プログラミングB(後期)を新棟で受講した学生からの苦情が多く、私自身も困った点は以下の2点です。
- ・閉館時の強制シャットダウン
・長時間のシステムダウン
強制シャットダウンに関しては、私自身も唐突に締め出されてしまったことがあり、理不尽な思いをいたしました。ログイン中のユーザに対しては、予め警告メッセージを出すなどの最低限の配慮が必要だと感じました。また、私自身が学生のときは夜遅くまで当時の情報処理教育センターで作業していた記憶がありますので、1部屋だけでも開館の時間延長をして頂けると、やる気のある学生を後押しできると思います。次に、システムダウンに関しては、演習時間(90分)のうちの半分以上の時間を演習に割くことができなかったことが2度あり、レポート課題などの演習スケジュールの変更を余儀なくされました。この制限に関しましては、今年の4月からはシステムの安定性が大幅に向上したようで、現在のところ1度も支障をきたすことがなく、安堵しています。
最後に、喚起したいことはSA(Student Advisor)に関してです。私が学生だったときは、SAの方々は常駐に近い状態で技術的にも非常に頼もしい存在でした。それから10年ほどが経ち、学生のときと同じような感覚でSAの方にトラブル解決をお願いしたのですが、その対応は厄介払いに近いものでした。また、SAの方々の待機部屋に電気が灯ることも少ないようです。もしサイバーメディアセンターのサービス充実などに携わってみたいかたがいらっしゃれば、積極的に参画されてはいかがでしょうか?