マルチメディア言語教育研究部門
Multimedia Language Education Division
1 部門スタッフ
教授 細谷 行輝略歴：1977年3月東京都立大学大学院人文科学研究科独文学専攻修士課程修了、同年4月大阪大学助手。1980年4月大阪大学講師、1987年4月大阪大学助教授、1999年4月大阪大学教授、2000年4月より、大阪大学サイバーメディアセンターマルチメディア言語教育研究部門教授。日本独文学会、阪神ドイツ文学会、日本ドイツ語情報処理学会、冠詞研究会各会員。
助手 大前 智美
略歴：1999年3月鳥取大学教育学部総合科学課程卒業。2001年3月大阪大学大学院言語文化研究科博士前課程修了。2004年3月大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位修得退学。2004年4月～大阪大学サイバーメディアセンターマルチメディア言語教育研究部門助手。日本独文学会ドイツ語教育部会、日本ドイツ語情報処理学会、阪神独文学会、英語コーパス学会、大阪大学言語文化学会。
2 教育および教育支援業績
2000年4月より稼動しているCALL教室の維持管理運営、CALL教室で利用するためのソフトウェア・コンテンツの開発・整備、各種講習会などを通じて教育研究支援を行っている。2.1 CALL教室の管理運営
Windows2000, XPクライアントを利用したマルチメディア授業環境を提供するための維持管理を行っている。安定したサービスを提供するために、2004年度は基幹サーバ、ネットワーク機器の更新を行った。2.2外国語学習のためのマルチメディア教材作成支援
CALL教室で利用するマルチメディア教材およびビデオ教材などの作成、さらにこれらを利用した授業についての研究発表の支援などを行っている。2.3 Internetを利用した授業支援システムの開発と運営
CALL教室のみならずインターネット接続環境のある学外でも利用できるWEB対応授業支援システムの開発を行っている。特にWEB上でのコミュニケーション手段である電子掲示板の改良を進めている。さらにオンライン教材・電子辞書などの開発を行い、WEB対応授業支援システムの開発整備及び運営をしている。2.4 CALL教室利用のための講習会開催
CALL教室を利用する教員・TAに対する利用講習会を各学期開始前に数度にわたり実施している。2.5 CALL教室活用のための検討会
言語文化部兼任教員と共にCALL教室の利用やマルチメディア活用のための検討会を行い、CALL教室利用を促進している。また、CALLについての研究・情報交換を行っている。2.6 WEB教材の全学向けサービスの実施
ALC社の英語学習教材NetAcademyを全学に向けてサービスしている。教材にはTOEIC対策・技術英語・メディカルイングリッシュなどの複数のコースを用意しており、目的にあった学習を行うことができる。これらオンライン教材を導入し、全学の学生教職員に向けてサービスを行っている。2.7 工学研究科「工学英語」の授業支援
工学研究科が行っている「工学英語」ではALC社のNetAcademyをカリキュラムに取り入れており、学習者の登録や履歴情報の抽出、その他学習サポートを行っている。3 研究概要
マルチメディア言語教育研究部門では、外国語の学習効果を高めるため、マルチメディアを利用した外国語教育システム（CALL教育システム）の研究・実践を行っている。特にインターネットを利用したWEB対応授業支援システムの研究・開発を行っている。3.1 Windowsシステムでの個別ユーザー毎の環境設定
現在、市販の授業支援ソフトを利用し、学生の出席確認、教材配布等を行っているが、授業での教官からの要望（遅刻する学生への対応や、個々の授業に応じた環境設定等）に応えるには十分とは言えない。この問題を解決するために、Windows2000のActive Directoryに登録されたユーザー情報を元にユーザーのログオン時間から出席・欠席・遅刻を判断し、かつユーザー毎の受講情報と結びつけることにより、個々の学生の学習環境をより使いやすいものにすることを目指す。3.2 動画転送装置とWindows端末システム管理ソフトの統合化
現状では、通常のTCP/IPで動画を50台規模の端末へ流すには限界がある。そのため、CALL教室では専用線を持つ動画転送装置を導入し、ビデオその他の動画を流している。しかし、CALLシステムを利用する教官の立場からすると、通常のWindows端末でのシステム管理ソフトの操作に加えて、動画転送装置の操作までも行わなくてはならない。そのため授業進行に影響が出ることもある。そこで、ネットワークでの伝送技術の改良により、システム管理ソフトに動画転送機能を取り込めることが望まれる。3.3 コンテンツ作成支援システムの研究
大学内に限らず、社会一般にネットワークが広がる現状において、大学の持つ知的資産を、ネットワーク上で利用できる形にする事には大きな意味がある。すでに当部門では、WEB 対応のマルチメディアコンテンツの開発ならびにこのコンテンツのWEB配信システムについて研究を重ねてきたが、コンテンツの開発には、多くの有能な人材と高度な設備が必要になるため、マルチメディア教材作成にあたって教官をサポートする全学的な支援体制を確立する必要がある。3.4 遠隔授業システムの研究
21世紀の授業形式として、遠隔授業・遠隔学習システムが導入されつつあるが、このシステムは、大学内に限らずインターネット利用環境であればどこでも利用できるシステムである。よって、生涯教育の一環として、多くの活用方法が考えられる。「いつでも、どこでも」、時空の制約を受けずに、ストリーミングビデオやブロードバンドによる動画教材を中核として、学習者個々人のニーズに木目細かく対応できるシステムを確立する。
3.5 WEB対応辞典の開発
外国語を学習する際に、辞典は不可欠である。辞典をひきながらの学習方法ではなく、できるだけ単語調べに時間を取られないで全体を理解することに主眼を置く。辞典をオンライン化し、マルチメディア化することにより、従来の辞典の範疇を越えた、WEB対応知的総合辞典の開発を進める。また、個人で単語登録をすることができるため、辞書データベースの拡充を行うことができるシステムとなる。
3.6 意味形態論の自動翻訳への応用
従来の自動翻訳とは全く異なる観点から、語感を分析する意味形態論を自動翻訳へと移植することにより、高品質の翻訳結果を目指す。ここで得られる文法解析、意味解析等の成果を、マルチメディアによる外国語学習に応用する。3.7 外国語コーパスを利用したデータベース開発研究
英語やドイツ語等、インターネットにて提供される外国語データを分析・処理することにより、コンコーダンスを作成する。また、基礎語彙を確定することにより、外国語学習のより効果的な環境を開発する。ESPに代表されるように、目的にあった語学学習が注目されている現代、ジャンルを確定した語学学習のためのコーパス利用、データベース開発を行う。4 2004年度研究業績
4.1 学術論文誌
細谷 行輝：「文系に見られるデジタル化の動向」、ドイツ語情報処理研究15、35－40
4.2 学会発表
細谷 行輝・大前 智美：「先端的CALLシステムとWEB対応授業支援システムの可能性」日本ドイツ語情報処理学会（2004年度） 2004年7月4.3 その他
１）WEB対応授業支援システム「WebOCM」の開発研究２）WEB対応テスティングシステムの研究
5 社会貢献に関する業績
5.1 教育面における社会貢献
5.1.1 学外活動
2月8日 金沢大学 合同研究会 「文系のためのe-Learning 入門--講師の負担を極限にまで減らすには--」5.1.2 研究部門公開
以下の行事に際して言語文化部と共同でCALL教室公開およびCALL模擬授業を実施。・4月29日 大阪大学まちかね祭また多数の施設見学を受け入れている
| 5月24日 | カナダ ビクトリア大学アジア・太平洋センター長 教授ジョセフ・ケス氏 |
| カナダ カモサン大学教授 アニタ・ケス氏 | |
| クリエイティブ実験室にてWebOCM・e-learning解説 | |
| 6月3日 | 立命館大学 情報理工学部 嘱託講師Timothy Gutierrez氏 |
| クリエイティブ実験室にてWebOCM・e-learning解説 | |
| 7月2日 | 和歌山大学教育学部 山本 哲氏、土井 仁氏 他学生2名 |
| クリエイティブ実験室にてWebOCM・e-learning解説 | |
| 8月18日 | 土佐高等学校 進路部長 岡松 宏明氏 |
| 学生20名 | |
| 8月23日 | 神戸薬科大学 ネットアカデミー導入に際してのCALLシステム見学 |
| 9月17日 | 中国水利部 水利部人事労働教育司教育処副所長 他5名 |
| 10月25日 | 大阪府教育センター主任指導主事 菅正隆氏 他大阪府下教員51名 言語文化研究科日野教授授業見学 |
| 11月9日 | 伊丹北高等学校1年生 情報系学生体験入学・実習 |
| 11月12日 | 神戸大学国際コミュニケーションセンター教授 三木 賀雄氏 言語文化研究科井元助教授授業見学 |
高校生向け体験授業
| 8月18日 | 情報科学研究科高校生見学 （一日体験入学） |
5.2 学会活動
5.2.1 国内学会における活動
日本ドイツ語情報処理学会会長・冠詞研究会幹事（細谷）として活動している。5.2.2 論文誌編集
１）中埜芳之先生退職記念論文集編集２）「ドイツ語情報処理研究15号」（日本
ドイツ語情報処理学会）編集
３)「ドイツ語学研究」（冠詞研究会）編集
5.2.3 国際会議への参画
5.2.4 学会における招待講演・パネル
5.2.5 招待論文
5.2.6 学会表彰
5.3 産学連携
5.3.1 企業との共同研究
5.3.2 学外での講演
2005年2月8日（火曜）、金沢大学、講演テーマ：「文系のための e-Learning 入門」---教師の負担を極限にまで
減らすには--
5.3.3 特許
5.4 プロジェクト活動
5.5 その他の活動
4月5、6、7日CALL講習会（2004年度授業向け）4月28日 言語文化部教員向け授業支援システムWebOCMデモ
7月23日 日本ドイツ語情報処理学会会員向け 授業支援システムWebOCMデモ
7月24日 日本ドイツ語情報処理学会 研究発表会 CALL第2教室にて。
8月25日 九州共立大学 WebOCM導入のための見学・説明
9月21、29日CALL講習会（2004年度後期授業担当者向け）
11月20日 学内LAN & CALL 英語教材ワークショップ CALL第2教室にて。
3月16日 CALL研究会開催