サイバーメディアセンターのシステムに関する報告
1 汎用コンピュータシステム
更新後2年目にあたる2003年度は、汎用コンピュータシステムの中核サービスであるアプリケーションサーバ(NEC
Express/1160Xa, 4CPU)の利用負担金を改正し、基本負担額のみで無制限に利用可能とした。これにより、分子化学アプリケーションGaussian98、構造解析アプリケーションMSC.Marcの利用を中心に、昨年度よりも利用率が向上した。
今後は、Gaussian98の並列化対応などにより、さらにアプリケーションサーバの利用価値を向上させる予定である。
また、懸案であった電子メールの送受信におけるパスワード保護に関して、2004年5月6日より、パスワードが保護されないPOPによるアクセスを禁止し、APOPによるアクセスのみを許可するよう運用方針を変更する予定である。
2 大阪大学総合情報通信システム
大阪大学総合情報通信システム(ODINS; Osaka Daigaku Information Network System)は、大阪大学内のキャンパスネットワークの名称であり、サイバーメディアセンターがODINS事務室とともに、設計、管理、運用を行っている。
ODINSは、1994年の第1期整備、1996年の第2期整備、1998年の第3期整備を経て、ATMスイッチをバックボーンとするネットワークを構築し、2000年の時点で16,000台以上の端末が接続されている。さらに、2001年度には第4期整備を行い、ギガビットスイッチおよび高速ルータをバックボーンとするネットワークを構築した。すでに、多くの部局においてATMバックボーンからODINS第4期のギガビットバックボーンへの移行を完了している。
近年、ネットワークにおけるインシデント(コンピュータセキュリティに関係する人為的事象で、意図的および偶発的なもの)が増加しており、大学においても組織的な対応を迫られている。このような状況の中において、大学においても、情報セキュリティポリシーを策定し、セキュリティポリシーに基づいたネットワーク運用を行う必要性が高まっている。
大阪大学においては、すでに「ODINS運用原則とセグメント分けポリシー」を策定し、実務に供している。さらに、社会情勢の変化に対応して、学内ネットワークにおける安全性と利便性のバランスを取るために、柔軟にポリシー変更を行っている。
このセグメント分けポリシーの下では、学内の計算機をセキュリティレベルの異なるセグメントに分割し、それぞれのセグメントに対して、高速ルータへのパケットフィルタリング設定を行うことになる。2004年2月現在、吹田キャンパス127セグメントのうち81セグメントが(63%)、豊中キャンパス61セグメントにうち22セグメント(36%)がパケットフィルタリングの配下になっている。
また、ウイルスチェッカーの運用を本格的に始めており、すでに複数の部局に対してメールのウイルスチェックを行っている。今後、ウイルスチェックを行う部局を拡大し、最終的には、ODINSから出るあるいはODINSに入ってくるすべてのメールに対してウイルスチェックを行う体制を目指している。
今年度においては、以上のようにキャンパスネットワークのセキュリティ強度をさらに高めつつあり、より安全で快適なキャンパスネットワークを目指している。また、科学技術振興調整費による「セキュア・ネットワーク人材育成プログラム」を通じた管理運営要員の育成、社会への技術移転を行っている。
3 バイオグリッド基盤システム
バイオグリッド基盤システムは2002年3月に整備されて以降、2002年5月末からスタートした文部科学省ITプログラム「スーパーコンピュータネットワークの構築」(バイオグリッド・プロジェクト)の研究開発基盤として運用されてきた。
グリッドシステム1(写真 1)は、クラスタ用の専用ネットワークインターフェース Myrinet により高速かつ低遅延に密結合した典型的な計算グリッドシステムである。グリッドシステム2(写真 2)は、複数の FastEthernetによって多点結合したクラスタ・システムであり、柔軟なサブシステムの分割や、トランキング結合による高大域データ交換が可能である。グリッドシステム3(写真 3)は、古典的な共有メモリ型サーバ・システムであり、大規模データベース検索において汎用性能を提供する。グリッドシステム4(写真 4)は、クラスタ型ファイルサーバであり、トータル15TBのネットワーク・ストレージを提供する。
 |
|
 |
| 写真1 グリッドシステム1 |
|
写真2 グリッドシステム2 |
 |
|
 |
| 写真3 グリッドシステム3 |
|
写真4 グリッドシステム4 |
今年度は、新たにバイオグリッド・プロジェクトのグリッド基盤グループが中心となり、NECシステムテクノロジー社のサポートを得て運用体制を整備した。サイバーメディアセンター豊中教育研究棟の新設時に、グリッドシステム2およびグリッドシステム3が新棟に移設され、グリッドシステム1およびグリッドシステム4は、従来どおりサイバーメディアセンター吹田本館にて運用されている。このため、ファイルシステム(グリッドシステム4)アクセス用のプライベートネットワークが、ODINSを経由したキャンパスまたがりのネットワークに変更されている。これに伴いODINS基幹ネットワークのトラブルによる影響が懸念されるが、これに対応すべく、ODINSからのネットワークトラブルに関する連絡体制も別途整備した。また、ヘルプデスクシステムを導入し、運用に関わるチーム同士のシームレスな連携を可能にした。
表 1~表 3に本年度実施したシステム更新作業のリストを示す。
・Intel Fortran Compiler 7.0 → 7.1 バージョンアップ
・Intel C++ Compiler 7.0 → 7.1 バージョンアップ
・Intel Math Kernel Library 5.1 → 6.0 バージョンアップ
・J2SE SDK 1.4.1_02 インストール
・MPICH 1.2.4 インストール
・MPICH 1.2.4 → 1.2.5 バージョンアップ
・Condor 6.4.7 インストール |
表 1 本年度のシステム更新作業リスト
(グリッドシステム1)
・SCore 5.2.0 → 5.4.0 バージョンアップ
・Intel Fortran Compiler 7.0 → 7.1 バージョンアップ
・Intel C++ Compiler 7.0 → 7.1 バージョンアップ
・Intel Math Kernel Library 5.1 → 6.0 バージョンアップ
・J2SE SDK 1.4.1_02 インストール
・MPICH 1.2.4 インストール
・MPICH 1.2.4 → 1.2.5 バージョンアップ
・Perl 5.6.1 → 5.8.0 バージョンアップ
・GSI-SFS 0.0.6a インストール
・Condor 6.4.7 インストール
・Open PBS 2.3.16 インストール
・新規マスタノード導入 |
表 2 本年度のシステム更新作業リスト
(グリッドシステム2)
・BLAST 2.2.6 インストール
・ClustalW 1.83 インストール
・BioPerl 1.4 インストール |
表 3 本年度のシステム更新作業リスト
(グリッドシステム3)
利用者からのグリッドシステム2に対する様々な要求に応えるため、グリッドシステム2に新規マスタノードを導入した。旧マスタノードではSCore(BLASTで利用)およびGlobus
2.0(GUIDEで利用)が利用可能である。一方、新マスタノードではOpen PBSおよびGlobus
2.2.4が利用可能であり、対外協力として外部のプロジェクトにプロセッサ資源を提供する等、より柔軟なグリッドシステム2の運用が可能になっている。
本報告書執筆時(2004年3月)、今後のさらなるシステム安定化を目的としたグリッドシステム1,2,4のOSのバージョンアップを予定しており、次期採用OSの選定を進めている段階である。また、グリッドシステム3については、バイオアプリケーションのバージョンアップを適宜実施する。その他のグリッドシステム1およびグリッドシステム2のシステム更新作業リストを表
4に示す。
・SCore 5.4.0 → 5.6.1 バージョンアップ
・Intel Fortran Compiler 7.1 → 8.0 バージョンアップ
・Intel C++ Compiler 7.1 → 8.0 バージョンアップ
・Intel Math Kernel Library 6.0 → 7.0 バージョンアップ |
表 4 今後のシステム更新作業リスト
(グリッドシステム1およびグリッドシステム2)
表 5に2003年度のグリッドシステムの稼働率を示す。なお、集計の対象期間は2003年4月1日から2004年2月29日までの335日間である。
|
計画停止 |
障害 |
稼働率 |
|
日数 |
日数 |
% |
| グリッドシステム1 |
21 |
39 |
82.1 |
| グリッドシステム2 |
33 |
37 |
79.1 |
| グリッドシステム3 |
7 |
17 |
92.8 |
| グリッドシステム4 |
21 |
24 |
86.6 |
|
表 5 2003年度のグリッドシステムの稼働率
(集計対象期間:335日間)
グリッドシステム3の稼働率が他のシステムよりもやや高い。これは、NIS/NFSサーバであるグリッドシステム4のサービス停止が、グリッドシステム3のメインユーザ(データグリッドグループ:グリッドシステム3上にローカルアカウントを持つ)には影響がないことから、通常の稼動状態として日数をカウントされたためである。
グリッドシステム1の計算ノード、および、グリッドシステム2の計算ノードの負荷状況をリアルタイムで監視するため、クラスタ監視システムganglia(図
1)を導入した。監視情報はユーザに公開されている。

図 1 ganglia
上述した基盤システムを用いた共同研究・連携が2003年度数多く実施された。本節では、そのうちいくつかを簡単に紹介する。それ以外の活動についても、本報告書他節で紹介されているので、そちらを参照されたい。
4 データグリッドシステム
4.1 システムの概要 データグリッドシステムは4面スクリーンを備えた立体視表示システムであるCAVEシステム、および、12TBのストレージを備えた高性能グラフィック処理サーバOnyx300により構成されており、シミュレーション結果やデバイスによる試料観測結果など大容量データの可視化を支援するシステムである。システムの利用方法は、CAVEシステムによる没入感の高い解析方法、遠隔地からVizserverソフトウェアを用いてOnyx300の画像解析機能を利用する解析方法の2種類が提供されている。ここで、導入時にはAVS/Expressを用いて3次元データを提示することを想定していたが、AVS/Expressでは2GB以上のファイルを扱えない。そこで、大規模なデータ解析を実現するために新たに可視化ソフトウェアとしてIDLを導入した。また、データグリッドシステムの利用者を拡大することを目指し、現在システムに導入されている AVS、Performer で扱える形式だけでなく、より多くのファイル形式をサポートするため、広く普及しているオープンソースの可視化ツールキットVTKを導入した。さらに、NCSA で作成された VTKActorToPF というライブラリを導入し、VTKとCAVEの接続を可能にした。VTKActorToPF はVTKで実際に画面に描画する処理部分を、Performer で行なうことによりCAVEでの立体表示を可能にしたライブラリであり、VTKを用いて作成されたアプリケーションからの移行も比較的容易である。これにより、例えばVRML形式のデータの読み込みが可能になっただけでなく、VTKで用意されている様々な可視化APIも利用可能になった。に本年度実施したシステム更新作業のリストを示す。
・OSおよびVizserverのバーションアップ
IRIX (OS): 6.5.18 → 6.5.20
Vizserver: 3.0.2 → 3.1
・IDL5.6 インストール
・IDLのバージョンアップ
IDL: 5.6 → 6.0
・VTK4.2.2のインストール
・VTKActorToPFのインストール |
表 6 本年度のシステム更新作業リスト
4.2 システムの利用状況
今年度はCAVEシステムを用いた研究開発を支援するため、CAVEコンテンツ作成の共同研究プログラムを実施した。プログラムには6件の応募があった。以下ではその中から3件のプロジェクトについて紹介する。
4.2.1 遠隔仮想物体操作とナビゲーションのための統一的操作インタフェースの開発
代表者:
清川清(サイバーメディアセンター情報メディア教育研究部門)
分担者:
町田貴史(サイバーメディアセンター情報メディア教育研究部門)
友添雄亮(情報科学研究科情報システム工学専攻)
研究内容
CAVEなどを用いた大規模なVR空間では、利用者がVR空間を自在に動き回る(ナビゲーション)ことのできる操作体系を用意する必要がある。また、手の届かない範囲の仮想物体を移動するなど、遠隔の仮想物体を操作可能とすることで利便性が向上する。従来これらの二種類の操作体系は、それぞれ独自に開発されるために全く異なっていたり、その一方しかサポートされなかったりしており、利用者にとって扱いづらいものであった。本研究では、ナビゲーションと遠隔仮想物体操作のいずれも全く同様の操作体系で扱える操作インタフェースを開発する。
4.2.2 生体骨医療を目指したマルチプロフェッショナル・シミュレータ
代表者:
中野貴由(工学研究科マテリアル科学専攻)
分担者:
石本卓也(大学院工学研究科マテリアル科学専攻)
吉田喜人(工学部応用理工学科)
高野直樹(工学研究科生産科学専攻)
研究内容
多くの骨の内部にある海綿骨は、複雑な骨梁の3次元ネットワーク構造をとっており、骨密度(気孔率)だけでなく、その微視的な構造(モルフォロジー)が特性に寄与する。これらの微視構造の観察と、外負荷に対する応力の支持あるいは微視的な応力集中と骨折との関係、ナノレベルの生体アパタイトの結晶子の配向との関連を探るべく、応力解析ソフトと可視化ソフトを備えた新しいシミュレータを開発する。可視化には研究室にある簡易立体視装置(KGT製PVR)とCAVEによる立体視を標準的に多用する。なお、標題の研究は、骨粗鬆症の診断治療を目指し、独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業の一つとして採択されているものである(研究代表者:高野直樹、工学研究科生産科学専攻助教授、期間:2003年10月~2006年9月)。
4.2.3 VRを用いたロボットに対する人間の安心感評価
代表者:
井上健司(大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻)
分担者:
新井健生(大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻)
前泰志(大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻)
野中瀬里(大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻)
研究内容
近い将来、人間の生活環境内において様々なサービスを行うロボットが期待されている。そのようなロボットは、その形態や動作が人間に圧迫感や恐怖感を与えないことが重要となる。そこで本研究では、VRを用いてロボットが人間に及ぼす心理的影響を評価する。被験者は、CAVEを利用して仮想的に作成したロボットと空間を共有する。そして、様々な仮想ロボットの形態や動作に対する人間の感情を生理反応やアンケートを指標として評価する。この方法では、VRを用いることで、実際にロボットを作ることなく、容易かつ迅速な評価が可能となる。また、物理的に接触することがないため、ロボットの暴走や転倒などによる被験者の危険も回避できる。
5 アカウント統合管理システム
サイバーメディアセンターでは、学内の(公共)施設内外に設置された情報システムを利用するための統一アカウントの導入を計画している。統一アカウントの導入によって、例えば、附属図書館内に設置されたマルチメディア端末、情報コンセント、あるいはサイバーメディアセンター内に設置された各種システムがひとつのログイン名とパスワードの組み合わせで利用することが可能になる。この度、このようなコンセプトのもと、まずはサイバーメディアセンターが提供する情報システムにおいて利用できるアカウント統合管理システムを開発し、2002年3月に導入、運用を開始した。
アカウント統合管理システムは、ユーザ情報を格納するサーバと認証を受けるそれぞれの情報システムの認証サーバ(アカウント統合管理システムにおけるクライアント)、および管理端末からなる。認証の対象となる情報システムとしては、現在、教育用計算機システム(情報教育システムとCALLシステム)、電子図書館システムのマルチメディア端末と情報コンセント、豊中教育研究棟情報コンセントがある。これらのアカウント統合管理システムのサーバ、クライアント、管理端末は独立したセキュアなネットワークで接続され、認証情報はさらに暗号化された上で伝送される。アカウント作成に必要なユーザの情報は、総務部、学生部の協力、連携により入手し、全教職員、全学生のアカウントを作成している(ただし、一部事務局で十分な情報を持たない人については申請により作成する)。ユーザのパスワード変更は、CMCアカデミックポータル等を経由して行うことにより、サーバ上のデータベースを更新し、それらを各クライアント(各情報システムの認証サーバ)へ配信する。従って、それぞれ異なるシステムを利用する場合にも、同一のログイン名、パスワードであらゆる情報システムが利用可能となる。
現在、サイバーメディアセンター以外の一部の組織、システムでも統一アカウントを利用した運用を実施している(例えば、教官基礎データ収集システム)。今年度は、サイバーメディアセンター以外の組織からシステムの認証に使わせてほしいという依頼がありシステムの設計や導入に協力した。
- (1) 工学部内CALL教室における認証
工学部がCALLや他のソフトウェアを利用するためにWindowsベースの計算機を設置し、そのシステムの認証に統一アカウントを利用するシステムを導入した。このケースでは、サイバーメディアセンターのCALL教室と同様のシステム、およびソフトウェアを含んだ利用形態としたいということで、サイバーメディアセンターのCALLシステムと連携する形で認証サービスを提供している。
(2) 無線LANシステムにおける認証
今年度末にサイバーメディアセンターと工学部で導入した全学用の無線LANシステムに対して認証サービスを提供した。他のサイバーメディアセンターのシステムと同様、無線LANの認証サーバに対してアカウント情報の配信を行っている。ちなみに無線LANの提供範囲は、サイバーメディアセンター豊中教育研究棟、附属図書館本館、工学部生協付近となっている。
(3) 中之島センターのシステム認証
2004年4月に設置される大阪大学中之島センターに導入されるシステムに対して認証サービスを提供する。サイバーメディアセンター内のシステムに対する提供方法と同様のシステムとしている。ただし、アカウント情報を強固に守るため、アカウント情報を配信する中之島センターの認証サーバは、ハードウェアを除き、サイバーメディアセンターが完全に管理するシステムとなっている。
今後もこのような認証サービスに対する全学の要望に応えていくため、サイバーメディアセンター内に統一アカウントコーディネーションWGを設置し、対応にあたる。アカウント統合管理システムの整備も見据えながら全学に対する認証サービスの提供を行う予定である。

図2 アカウント統合管理システム
6 ポータルシステム
2002年4月から運用を開始したポータルシステム「CMC Academic Portal」は、学内のWeb系サービスへのポータル機能を提供するものとして学内にも着実に認識されつつある。2003年度には、NetAcademy(マルチメディア型英語学習システム)や教官基礎データシステムへのシングルサインオン機能の提供に加え、2003年5月には本学事務局企画広報室が運用するセミナー/シンポジウム情報登録システムおよび学内BBSシステムへのシングルサインオン機能の提供を開始した。これにより、統一アカウントをもつ教職員が大阪大学公式ホームページで提供される情報の登録をオンラインで行うことが可能になった。また、2003年8月にはキャンパスライセンスソフトウェアStarSuiteのオンラインダウンロード機能の提供を開始し、これまで面倒であった申請から配布までの事務処理を自動化することができた。2003年9月には、附属図書館が提供している電子ジャーナルを容易に利用できるよう、ポータルシステム内に電子ジャーナル一覧のページを設けた。これは、学内で提供される各種サービスの一元化を目指したものである。
さらに、現在、共通教育機構が中心となって導入を進めているWebアンケートシステムとの連携や、部局における広報活動を支援するフォームベースのオンライン情報登録・配信システムの導入およびポータルシステムとの連携を推進している。
現在、ポータルシステム「CMC Academic Portal」の位置づけは、依然としてサイバーメディアセンターが提供しているポータルシステムという位置づけであるが、さらなる利便性の向上のためには、大阪大学のポータルシステムという位置づけが得られるよう、関係する室や委員会に働きかけていくことが必要であると考えている。
7 中之島センターと遠隔講義
阪大OBや企業の寄付金によって文部科学省のキャンパス・イノベーションセンターとの合築により、大阪大学中之島センターが旧阪大医学部跡地に建設された。地下2階、地上10階建てで、1Fは入居大学の情報発信スペース、2Fにレストラン、8F、9Fは同窓生向けのサービス提供スペース、10Fに200人程度を収容できる佐治敬三メモリアルホールが設けられている。3~6Fのキャンパス・イノベーションセンター、中之島センターの7Fには多地点にわたる外部との接続が可能な講義室、会議室が設置され、無線LANによって館内のどこでもネットワークを利用できる。大阪大学中之島センターの目指すものとして、
- ・ 教育・研究の機能
・ 社会人への情報提供機能
・ 社会との交流の機能
の3つの機能が掲げられている。上にあげた施設はこのような機能を実現するために必要な設備として設置されている。とくに、中之島センターに設置された遠隔講義システムは、
- ・ TV会議システム(HDTV画質によるシステムを含む)
・ コースマネージメントシステム(WebCT)
・ 自動コンテンツアーカイブシステム(MediaDEPO)
からなり、阪大の学生のみならず社会人の高度教育も視野にいれた e-Learning を実現することが可能になっている。
大阪大学中之島センターは平成16年4月にオープンするが、入居する他大学との連携や、立地を生かした企業との連携拠点、社会人を含めた広範囲の高度教育サービスの提供、阪大同窓生の交流の場として今後の期待は大きい。
 |
|
 |
| 図3 大阪大学中之島センターロゴ |
|
図4 大阪大学中之島センター完成予想図 |