巻　頭　言

年報創刊にあたって

　大阪大学サイバーメディアセンターは、平成12年4月に学内外の情報基盤を支える組織として新たに設置された全国共同利用施設です。サイバーメディアセンターは、旧大型計算機センター、旧情報処理教育センター、図書館（一部）を再編成し、大学院理学研究科、大学院工学研究科、大学院基礎工学研究科、言語文化部・大学院言語文化研究科などをはじめとする学内の各部局からの協力により設立されました。
　本センターは、次世代の情報基盤技術の研究・開発と整備を行い、学内の研究組織との連携により、先端的研究成果を求め、最先端の情報処理技術基盤の教育と普及を行う中核的拠点としての役割を果たしていきます。また、本センターは、大阪大学における情報技術（IT）の基盤をより強固なものにし、その有効利用を促進するために大きな役割を果たすものとして期待されています。学内的には、ディジタルコンテンツから、情報メディア（データ）そのもの、通信メディアなどの多様なメディアを基盤とした、新しい形態での人間の知的活動、すなわち、新たな思索、発見、創造を促し、知的活動の大規模化、グローバル化を促すサイバースペースあるいはサイバーソサイエティをキャンパス内に構築することを目指します。学外的には、全国共同利用施設として、その技術を近隣地域さらには全国の大学に普及させ、保有する計算およびネットワークリソースを提供していくという大きな役割を持っています。
　本センター発足後1年が経過しましたが、今まで短い期間に、さまざまな課題に取り組んできました。平成13年1月より新スーパーコンピュータNEC　SX-5/128M8の運用を開始しました。平成13年秋には、ネットワーク利用を可能とするマルチメディア電子図書館システム、およびセキュリティを考慮した高速キャンパス情報ネットワークシステムが導入されます。平成13年度末には汎用機システムの更新を控えています。さらには、平成14年夏、豊中キャンパスに新棟が竣工します。今後も最新の情報技術を取り入れた学内外の情報基盤の整備と教育研究活動の支援を行っていく所存です。
　本センターは、先端科学研究支援、高度教育支援・情報技術普及、情報発信、研究開発の四つの大きな機能をもち、そのうち研究開発は、設置された7研究部門で強力に推し進めています。本年報は、各研究部門の教育研究活動への取り組みと平成12年度における主な成果を公表する目的で作成しました。本年報によって、本センターの研究部門の活動の一端をご理解いただければ幸甚に存じます。
　本年報に示した教育研究活動が今後さらに発展し、学内の情報基盤をより強固なものにすることに寄与し、本学におけるより高度な知的活動を強力に支援できることを確信しております。また、そのなかで得られた知見や開発された技術を学内および全国に広めることによって、大阪大学の全ての教職員および学生、国内外の利用者、共同研究者、さらにはマルチメディア・コンテンツを閲覧する一般市民に至るまで、本センターが提供するサービス機能を何らかの形で有効に享受できるようなコミュニティを創出できるよう努力してまいります。皆様方の本センターへの今後益々のご支援とご協力を何卒お願い申し上げます。